厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています

氷の皇帝 ライズ・ド・ヴォルカノ(1)

 皇族専用のティーサロンは、眩しいほどの高級感に包まれていた。

 窓にはドレープの流れが美しいラグジュアリーなカーテン。壮麗な模様の壁紙に、輝くシャンデリア。中央にある縦長のテーブルの周りには、おしゃれな椅子が整然と並んでいる。

 今着席しているのはフランと皇帝のふたりであるが、もしこの席が高貴な人々で埋まるようなことがあれば、緊張のあまり、たちまち息もできなくなってしまうだろう。

 正面の席にいる皇帝ライズは、どうやら一緒に休憩を取りながら話をするつもりらしい。

 案内された先が懇談の場で、ひとつ安心はした。
 けれど今度は別の意味で緊張に襲われ、動揺を隠せない。

 鎖国に近かった島国シャムールでは、他国の貴人を招いて交流する機会はめったになかった。客人があってもフランは隠されるようにして引っ込められていたため、こうした状況には慣れていないのだ。
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