縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
村人たちはあくまでも盗賊たちと立ち向かう気でいるようだ。
だけどこれは一体いつまで続くだろう。

盗賊たちがこの村に飽きてどこか別の場所へ行くまで続くんだろうか。
それはいつ?

考えても答えなんてでない。
もしかしたら盗賊たちは一生この土地から出ていかないかもしれないのだ。

明日には村人全員が犠牲になっている可能性だってある。
そう考えるともたもたしている暇はないと思えた。

気がつくと薫子はその場で勢いよく立ち上がっていた。
赤毛が揺れて、みんなの視線が薫子へ向かう。

「どうしたの薫子」
隣に座っていた菊乃が驚いた視線を向けてくる。

薫子は村の面々を見回して、それから決意したように大きく息を吸い込んだ。
「私が生贄になります」
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