甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
ฅ犬丸、ここから始まったってよฅ




まずは時を今から2ヶ月前、

5月にまで遡る───。



「…やられた、」



ガシャンと閉ざされた場所は体育館倉庫だった。

何度か扉を揺らして確認した一条くんはなんと、“犬丸が怯える存在ランキング”にて不動の1位であるクラスメイト。


これはそんな男の子と閉じ込められてしまった、ある日のことでした。



「完全にはめられた。鍵かかってる」



一条くんは隣の席の男の子で。

女の子から人気があって、男の子にも憧れに似たような眼差しで見つめられる、そんなひと。


たがこの犬丸は。


正直、怖くて怖くてたまりませんでした。



「そもそも体育委員がしっかりボール片付けてればこうならなかったけどな」


「えっ、あ、」


「このあと予定あったっつーのに」



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