甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
……に、なぜか囲まれている7月の今日この頃。
「………総長…、たぶん……間違ってます」
そのなかで唯一メガネをかけたインテリくん、どういうわけかパソコン片手に冷や汗だらだら。
そうじゃない、そんなはずがない。
俺のデータが外れるはずがないんだ───、
誰よりも誇りを持っている聴覚がピクリと傾いて、その人からの絶対的な自信と不安を察知する。
「あ?間違ってるってなんだよ」
「…人違いです。こいつ、暁の女じゃありません」
「そんなはずねえだろ。目撃情報もあるし、おなじ高校の制服も着てるじゃねーかよ」
「……いや……だって、…こいつのヴァローレ額───」
ダァァァァァンッッッ!!!
とんでもない音が倉庫内に響いて、つぎの瞬間にはひとりひとりの悲鳴と鈍い音。
「おいまじかよ……、どっからどう見ても本物じゃねーか…、っつーことは本当にこの女が暁の───ぐはァ…ッ!!」