捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
4.甘やかされる心地よさ

凛が結婚を承諾したあとの亮介の行動は早かった。

すぐに凛を高級ジュエリーショップへ連れていき、恐ろしいほど大きなダイヤのついた婚約指輪を購入した。

秘書がこんなにも大きな宝石のついた指輪をしているわけにはいかないと困惑する凛をよそに、亮介は休日の気が向いた日だけつければいいとこともなげに言い放つ。

「サイズの調整で受け取りは後日になるそうだ。プロポーズする時に用意するものなのに、遅くなってしまってすまない」
「いえ! そんなこと気にしません! それよりも分不相応で……」
「結婚指輪は常につけていられるシンプルなものを選ぶ。だから今回は俺の意見を通させてくれ。俺が君に似合うと思う指輪を贈りたいんだ」

表情を和らげてそう言われてしまえば、凛はそれ以上なにも言えなかった。

指輪の購入と同時に、亮介はリュミエールの社長である彼の父、茂樹が社内にいる時間を見計らって面会のアポを取り、凛を伴って結婚する旨を報告し了承を取った。

凛は大企業の跡取りである亮介の結婚相手が自分でいいのかと戦々恐々としていたが、息子の結婚を半ば諦めていた茂樹は手をたたいて大喜びだった。

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