夢×恋グラフィティ

第3話❥勧誘






「ハァ…。ようやく静かになったわ」

放課後。

私は誰もいない図書室の窓際で、1人静かに本を読みながら、平穏を満喫する。

数時間前、"塾かある"なんて鈴城くん達には、言ったけれど、それは真っ赤な嘘。

今日は、私にとって塾も、家庭教師もなくゆっくりできる唯一の日なのだ。

あの席、せっかく端っこなのに。
誰かさん達のせいで、悪目立ちするというか、騒がしすぎるというか…。

何が楽しいのか鈴城くんだって、なぜか私にムダに絡んでくるし…。

今では、真田くんより鈴城くんの方が苦手になりつつある。

「…真田くんよりヤツの方が面倒よね。明日からどうしよう…」

「俺が何?」

「…っ!?」

思わずこぼれた本音。

誰もいないと高を括っていたのに、突然後ろから声をかけられて私はビクッと身体を硬直させた。

< 12 / 56 >

この作品をシェア

pagetop