夢×恋グラフィティ
第5話❥初ミーティングとイメージチェンジ
まだ、皆来てないのかな…?
私は駅前のベンチに腰をおろし、小さく息をつく。
現在、土曜日の10時半少し前。
ちなみに真田くんからグラフィティ部のグループチャットに【土曜日は、10時半に駅前集合な!】そんな連絡があったのは一昨日の夜。
朝の9時に家を出た私は、塾の自習室に勉強道具を置くと、集合場所である駅前にやって来ていた。
休みの日だからか、駅前は待ち合わせをしている同年代の子たちで賑わっている。
皆、メイクとか服装とか本当に可愛いな。
それに比べて、スッピン、白Tシャツ、ジーパンの私って…。
カラフルで、おしゃれな服装に身を包み、楽しそうにハシャぐ女の子達の姿に、私は改めて自分のダサさを痛感してしまう。
その時だった。
「御井ちゃん、おはよー。早いね」
聞き覚えのある声に私は、そっと顔を上げた。
私を"御井ちゃん"と呼ぶのは1人しかいない。
「鈴城くん、おはよう」
「うん。おはよ。てか、あれ?唯月たちはまだ来てない感じ?」
キョロキョロと辺りを見回す鈴城くんに私は「まだみたい」と声をかけた。
それにしても鈴城くん、私服オシャレだな…。
黒のテーパードパンツに、白のサマーニット。
黒の半袖の少しダボッとしたシャツを羽織るというシンプルなモノトーンコーデ。
駅前でたむろっている女の子たちも、鈴城くんに熱い視線を送っている。