SENTIMENTALISM
five


梨紗に引っ張られるがまま、此処まできたが今自分の目の前にある建物に呆然とする。

「りく?どうしたの?」

「……梨紗…。ここって…」

「ん?ラブホだよ」

まるでカラオケでもいくかのような、口調。

「嫌だよ!あたし!」

あたしは鞄を強く握りしめ、帰ろうとする。

「本気で言ってんの?8万だよ?平気だって。SMとか、そういうのじゃないから。それに綾子さんの知り合いだからヤバくならないよ」

「綾子さんの紹介なの?」

「そうだよ」

訳がわからなかった。
綾子さんが、人とは違う稼ぎ方で生きているのは知っていたけれど
まさかそれを梨紗にまで教えているなんて。

「……梨紗、彼氏いるんじゃないの?」

「だってそれだけじゃ足りないもん、お金。」

お金の話をしているわけじゃないことを伝えようとした矢先、梨紗があたしの手を引っ張り中へ入った。


「ちょっと梨紗!」



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