断罪された公爵令嬢は自分が聖女だと気づき、甘い溺愛の中でもう一度人生をやり直す
「リエナ様、歯を食いしばって下さいませ」



私はそう述べた3秒後、思いっきりリエナ様の頬を叩いた。





「これで許すなんて、甘いことは言いませんわ。これは私の気持ちの整理のための一発です」





リエナ様は、私に叩かれた頬に触れながら呆然《ぼうぜん》としていた。




「国王は、リエナ様の聖女の力を危険視して、リエナ様の幽閉を考え始めたそうです」

「だから、リエナ様に選んで頂きたいのです。幽閉されるか、【聖女の力を無くす】のか、どちらが良いかを」



リエナ様は何も言わなかった。

しかし、暫くして消え入りそうな声で呟いた。





「・・・・こんな力、要らない・・・・どうせ幸せになんてなれない・・・・」





私は、顔を上げ、天井を見上げる。






「女神よ、見ているのでしょう?」






女神のクスクスとした笑い声が、聞こえてくる。






「どうしたのかしら?私の愛しい聖女達」






「リエナ様の聖女の力をなくして下さいませ」






「そして、【私の聖女の力も】」






女神の楽しそうだった声色が、一気に冷たく変わる。
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