断罪された公爵令嬢は自分が聖女だと気づき、甘い溺愛の中でもう一度人生をやり直す
街に出かける前に、私はグレン殿下に尋《たず》ねたかったことを勇気を出して聞いた。

「あの・・・・!」

「エイリル嬢、どうしたの?」


「私のどこを愛しているのですか・・・・?」


その言葉を聞いたグレン殿下は何故か心の底から嬉しそうな顔をした。

「グレン殿下?」

「その質問をするということは、私の愛は信じてくれるんだね」

「・・・・グレン殿下が嘘をついていらっしゃる様には見えなかったので・・・・」

「実は昔エイリル嬢に会ったことがあるんだ。物語に良くある初恋のようなものだ。それでも、私にとって君は奇跡のような存在だったんだ」

「申し訳ありません。私は覚えていなくて・・・・」

「覚えていなくて当然だ。しかし、まだ話すのは早い。私は昔話など関係なくエイリル嬢に今の私を愛して欲しい」

グレン殿下はそう仰ると、私に手を差し出す。
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