528ヘルツの大好き
朔間くんに促され、窓沿いに備え付けられている閲覧席に並んで座った。朔間くんはプリントを一枚渡してくれた。
「わりと大きい大会みたいでさ、部門がいくつかあるっぽい。子供部門と中学高校生部門――」
――部門は三つ。小学生までの子供部門、私がエントリーしている中高生部門、あとは大学生とか大人の一般部門。まずは予選として、課題に出された文章を朗読して録音したものをコンテスト本部に送る事になっているらしい。
「その予選、期間が短くて、今月末締め切りなんだ。ちょっと頑張らないとまずいかもしれない」
「う、うん……」
「あとさ、先生に聞いたんだけど……」
そこまで言うと朔間くんは言いにくそうに口を閉じた。なんだろう?
「あの剛里希星の兄も一般部門にエントリーしてるらしい」
ああ……剛里さんがどうして急に朗読なんて興味を持ったのかと思ってたけど。その理由が分かった気がした。
剛里希星には年の離れた大学生のお兄さんがいる。そのお兄さんが声優になったって、春頃凄く自慢していた。
実際は、深夜アニメでちょこっと出ただけだったらしいけど。
そのお兄さんが演技か何かの練習のつもりで、今回のコンテストにエントリーしているそうだ。
だからきっと私に意地悪するのは、お兄さんの自慢のついでなんだろう。部門は違うけど、同じ朗読コンテストに出せば順位とか比較して叩けるから。
「わりと大きい大会みたいでさ、部門がいくつかあるっぽい。子供部門と中学高校生部門――」
――部門は三つ。小学生までの子供部門、私がエントリーしている中高生部門、あとは大学生とか大人の一般部門。まずは予選として、課題に出された文章を朗読して録音したものをコンテスト本部に送る事になっているらしい。
「その予選、期間が短くて、今月末締め切りなんだ。ちょっと頑張らないとまずいかもしれない」
「う、うん……」
「あとさ、先生に聞いたんだけど……」
そこまで言うと朔間くんは言いにくそうに口を閉じた。なんだろう?
「あの剛里希星の兄も一般部門にエントリーしてるらしい」
ああ……剛里さんがどうして急に朗読なんて興味を持ったのかと思ってたけど。その理由が分かった気がした。
剛里希星には年の離れた大学生のお兄さんがいる。そのお兄さんが声優になったって、春頃凄く自慢していた。
実際は、深夜アニメでちょこっと出ただけだったらしいけど。
そのお兄さんが演技か何かの練習のつもりで、今回のコンテストにエントリーしているそうだ。
だからきっと私に意地悪するのは、お兄さんの自慢のついでなんだろう。部門は違うけど、同じ朗読コンテストに出せば順位とか比較して叩けるから。