本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
「私たちも協力したい。白雪先輩が悪口言われて傷ついてるの、黙って見てられないです」
 そう言ってくれたのは同じ手芸部で活動している1年生の女の子、亜美ちゃん。

 あとのふたりも協力したいって言ってくれて。背中を押してくれた感じがした。

――ちょっとだけ頑張ってみようかな?

 でも、何を頑張ればいんだろう。

「陽大くん、私は何をすればいんだろう」
「うーん……」

 陽大くんは私をじっと見つめた。

「まずは、自分に自信を持つことかな?」
「自信?」

 それって私にとっては、すごく難しいことかもしれない。自信があるように見える人たちは毎日キラキラしてる。どうしたらあんな風になれるんだろう。なってみたいなって考えたことはあった。

 だけど結局自信を持てたことはなくて、いつも自信がない。

「難しいな……だって私は声も小さいし、何をやるのにも遅いし……。人見知りで自分から話しかけれないし、人と会話をすることさえまともに出来ないんだよ。本当に全部がダメダメで」

「全部ダメなことなのかな……」
「えっ?」
「僕は優乃ちゃんの声も話し方も優しくて心地いいから好きだし、ひとつひとつの作業がゆっくりで丁寧だし、良いと思うけどな。まともに話せないって気にしてるけど聞き上手だし、こっちから話しかけやすいよ」

 自分の中で嫌いな部分たち。
 それを陽大くんはほめてくれている。

「優乃ちゃんが自分で短所だって思ってるところって、僕から見たら長所だよね」とも言ってくれた。

 陽大くんの言葉ひとつひとつが心にしみてくる。
 
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