本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから

7*コンテスト本番

 体育館に生徒たちが集まってきた。
 私たちは観客の生徒たちから見て左側の舞台袖へ。

 ガヤガヤと生徒たちのにぎやかな声が聞こえてくる。

「それでは『第20回 夢が丘六花学園 変身コンテスト』を始めます。ルールですがまず……」

 司会の男子がコンテストの説明を始めた。

「1か月前に撮影した参加者の動画をみなさんに舞台のスクリーンで見ていただきます。それから今日変身した姿の参加者のパフォーマンスを見ていただき、変身度が20点、魅力度を10点満点、ふたつ合わせて最高30点満点とし、手元にある用紙に参加者全員分の点数をそれぞれ記入していただきます。今年は20回記念として特別に、優勝した人、チームには25日クリスマスの日に、イルミネーション会場のオープン1時間前にイルミネーション会場を貸しきれる特別チケットと、会場にあるカフェのクリスマスケーキチケットをプレゼントします」

 説明が終わると、エントリーナンバー1番の花田さん桐生くんペアの映像が舞台のスクリーンに流れる。それが終わって、ふたりは舞台に上がった。

「花田さん、綺麗」
「桐生くん、めちゃくちゃかっこいい!」

 ふたりが舞台に上がった瞬間、沢山の歓声が聞こえてきた。さすが優勝候補。衣装がよりによって優勝候補の花田さんと被っている……この大きな歓声を聞くと、ちょっとだけ気持ちが揺れてきた。

 ふたりのパフォーマンスはダンスで、オシャレでテンポの早い曲がかかった。よく分からないけれど、最近の中高生のSNSで流行っている曲らしい。

 ふたりは運動神経もいいから、すごく難しいダンスを踊ってるんだろうな……。

 曲が終わると更にすごく盛り上がっている様子の生徒たちの声が聞こえてきた。

 音しか聞こえないけれど、生徒たちの声がすごく威圧感……。

< 32 / 49 >

この作品をシェア

pagetop