本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
 陽大くんは私の返事を待たずに、私が着ているドレスの後ろについているリボンか何かを引っ張った。後ろだから見えない。

「何してるの?」

 驚いた私は陽大くんに小声で聞いた。

 そのまま髪の毛のお団子もほどかれた。

「なんで?」って、舞台の本番中なのに思わず大きな声をだしてそう言うと「サプライズの魔法です」って陽大くんは微笑んで言った。

 短かったドレスはスルッと長くなり、腰まである髪の毛はお団子していた影響でちょっとだけふわっとしてほどけた状態。

 そして右耳の上辺りに髪飾りをつけてくれた。

「えっ!? 白雪さんめちゃくちゃ可愛い」「髪の毛ほどいたら美人」「綺麗」……色んな歓声が聞こえてきた。みんなが大きな声で言っているから、はっきりと聞こえてきた。自分のことを言われてるんだって、信じられなかった。

「踊ろう。練習した通り、いつも通りにね……驚かせてごめんね」って陽大くんが小さな声で呟いた。

――今は舞台に集中して、あとで詳しく話を聞こう。

 私は微笑みながらうなずいた。

 曲がサビに入ると、元気になってくるお姫様のダンスとお芝居をした。

 笑顔で明るく、陽大くんと同じ振り付けで踊ったり、手を取り合ったりもして……。

 本当に楽しくなってきて、舞台の上で本当に魔法がかけられたみたいだった。
 
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