本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
「コンテストに出たら、場違いだとか言われて、バカにされるに決まってる……だって、あのコンテストってキラキラしている人しか出ないし。私たちはどっちかって言うと……」
「大丈夫!」

 陽大くんは言葉をさえぎりそう言ってきた。
 その自信はどこから来るんだろう……。

 私はうつむいた。

「とりあえず明後日がコンテストの1ヶ月前で、変身後と比べるための動画を撮るらしい。だから名前をきちんと言うのと、全身撮る時にぐるっと回るらしいから、綺麗に回る練習でもしよう?」

 無言でじーっと見つめてくるカメラに向かって名前を言うのも、回るのでさえゆううつ。

 まして本番なんて、変身した姿で舞台に立って、沢山の人の前で自己アピールをするとか……。本当に想像が出来ない。私の見た目はこんな感じだし、特技とか全くないし……。自己アピールとかって、何すればいいんだろう。

 がむしゃらにピンク色の羊毛フェルトを固めるためにチクチクした。集中してなくて丸くしたいのに歪な形になるし、針で指を刺しちゃった。

 好きなことすらまともに出来ない私。
 もう、嫌だよ――。

 







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