愛のカタチ
屋上に行く途中で、先輩に今日の部活はどんな感じでしたかと話をはじめる。

シュートを三本も決めたと言われ、心から称賛の声が出てしまう。



「え、すごい…っ!さすが先輩です、 すごくかっこいい!」

先輩は照れたように、全然そんなことないんだよー、と 言っている。

そうこう話しているうちに、屋上に着いた。

名残惜しいけど、雑談はここまで。

屋上の真ん中に立ち、すっと真剣な表情を作る。

いつも下ろしている髪を今日のために、気合を入れて先輩がかわいい髪型だと言っていた、高めのツインテールにしてピンクのリボンまでつけてきたのだから、ここで告白できないともったいなすぎる。



「えっと、ナナちゃん、伝えたいことって何、かな?」



ものすごく、勇気がいる。



(だけど、きっと、先輩なら⋯。先輩なら、受け入れてくれるはず…!)

「⋯っ、先輩、これ受け取ってくださいっ!」



わたしは制服のポケットに隠していたそれを取りだし、

半ば押し付けるような形で先輩にわたす。



「これ、作ってきてくれたの?」



驚きながらも、嬉しそうな声を出してくれる先輩にわたしは上気したほおを隠しながら、蚊のなくような声ではい、と答える。



(どうかな、先輩、喜んでくれたかな…?)

「手紙も、読んでみて、ください…!」



視線を先輩の足の方に彷徨わせながら言う。

一秒一秒がすごく長く感じられてしまう。

もどかしく感じながらくるくると首に巻いてあるピンクのマフラーのタッセルを指先でいじる。
< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop