知人の紹介で
「ありがとう、衣月さん。衣月さんが心の底から好き。本当にありがとう」
「うん。私も志信くんが好きだよ。大好き」
「ねえ、衣月さん。今日はもう少し触れ合ってみてもいいかな? 気の済むまで口づけ合ってみたい」
「いいよ。私もしたい」

 二人で抱きしめ合ったまま、初めて触れ合わせるだけではない口づけを始めた。やり方なんてわからないけれど、ただ本能で求め合った。

「はあー、衣月さん。好き。衣月さんが好き」
「んっ。私も。志信くん、好き。離れたくない」
「うん。僕も」

 どれだけ口づけても止まらなくて、この日、初めて衣月は終電を逃した。

 突如発生した初めてのお泊りは緊張の連続で、ベッドの端と端で背を向け合って横になった二人は一睡もできずに翌朝を迎えたのだった。




 それから婚約した二人は結婚に関しても真面目に取り組み、入籍・結婚式・引っ越しなど結婚に向けての準備を二人で協力して進めていった。

 そうして婚約から一年後、二人は、二人を結びつけてくれた大事な友人も招いて結婚式を行った。
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