本の虫は恋煩う。




 近衛君にイジメっ子達から助けられてから数日。
 私は図書室で黙々と本を読んでいた。

 週明けの月曜日に近衛君とのことを河野先生にも話すと、ニヤニヤとした笑顔で、「青春してんねー」とからかわれた。

 …いやいやいや。
 そういうつもりで言ったわけじゃないのに。
 あと余計な勘潜(かんくぐ)りはやめていただきたい。

 今日は近衛君は用事で来れないらしく、私一人きりだった。
 最初は何を読もうかと迷っていたけれど、近衛君にオススメされた“ひかりを望む場所へ”を見つけて読んでいた。
 シリアスな場面に胸が痛んだり、何とも言えない歯がゆさに襲われたり、胸が熱くなるような青くて美しい話に引き込まれる。
 読み終わって、息をつく。
 とても面白かった、今度君に感想言おう。

 確かこれは色々な作品のスピンオフらしいから他の作品も読んでみてから改めて読み返そう。


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