鏡と夜桜と前世の恋
咲夜の想い


ー 政条家 ー







久しく帰省した咲夜が見た光景は、家の前で待ち伏せするおすずと陽菜の姿だった。



「咲夜さーん❣️そろそろ来ると思って待ってたのよ」



咲夜の姿を見た陽菜は嬉しそうに飛び跳ね、おすずは勝手に逃げ出した咲夜を睨み付ける。



「どうしてこちらの邪魔をする?俺が無罪放免になり逆恨みか… 何が目的だ、ゆきは関係ないだろ!!」



「邪魔?知らないねえ〜 何の話だい?」



「やだぁ〜 咲夜さんってばぁ。ゆきちゃんが身請けを受けたくないって嫌がってるだけでしょ!」



わざとらしくくすくす笑うおすずと陽菜。



コイツらまだ執着してくんのか…



どこまで俺に執着し付き纏うつもりだ?咲夜は二人に対して呆れ果て、大きな溜息を吐く。



「… おかえりなさい咲夜」



咲夜の怒鳴り声に気付き、屋敷から出て来たのは蓮稀と咲夜の母上だった。



「あら〜それより咲夜さん、今回は大変でしたねえ〜?」



蓮稀と咲夜の母上に気付いたおすずはコロッと態度を変え、白々しく気遣いの言葉を口にしにっこり笑う。



何が大変でしたねだ、お前らのせいだろ



" 欲しい物は欲しい "



この親子は自分勝手で強欲、自分の行いが全て正しい、間違えているなどと一切思ってはいない。



「…… 。」



母上はこの親子が、俺達兄弟と鈴香や雪美に何をして来たのか詳しくは話していない… それを良い事に白々しく猫なんか被りやがって。



重い沈黙…



「私達は政条家に話しがあって来たんだよ」



「…今更何の話だ、お前ら親子と話す事など何もない」



詳しくは話してないだけで何も知らない訳じゃない、咲夜の反応を見た母上は " 私が聞きます " と、二人を渋々家の中に迎え入れ… 何の遠慮もなく上がり込むこの親子に対して " 図々しい奴らだ " と、咲夜はまた大きな溜め息を一つ吐く。



それにしても話しとは何なのか、蓮稀と咲夜の母上はおすずと陽菜を客間へと案内する。

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