甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
安心した彼女の表情を見て、追いかけて正解だった。
彼女の耳元で、こちらを一瞥しながら囁いた若林に、菜々緒の表情が曇り、慌てて近寄った。
「すみません、若林さん。お手伝いしていただいたんですね。後は、私と、小柴で運びますので、先にいるスタッフと合流してください。後ほど、打ち上げで会いましょう」
俺の腕を掴んできた菜々緒に、若林は、鋭い目つきで睨んで「菜々緒、よく、考えろよ」怒りをあらわにして去っていく。
「なんだ、あれ?」
俺の菜々緒を呼びすてやがってと、奴の背中を睨んでいたら、「助かりました」と彼女は崩れるようにしゃがんでしまい、慌てて自分もしゃがみ抱きとめた。
「おい…菜々緒」
顔色は青白く、よほど怖い思いをしたのだ。
間に合わなかった自分に腹が立つが、兎に角、彼女を抱きしめる。
何か声をかけてやりたいが、かけてやる言葉が思いつかない。
「高山チーフ」
「なんだよ」
「私と付き合ってください」
「へっ?」
怖い思いをしたというのに、彼女の斜め上の言葉に疑問と、驚きで頭が回らない。
「ダメですか?私、母のように嫉妬深いかも知れないし、高山チーフの全てを知っていないと気がすまない女かも知れないです。それでも、嫌じゃなかったらセフレ解消して、付き合ってほしいです」