甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
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月曜の朝なのに、体が辛いのは、昨日の出来事のせいだと悪態をついていく。

「あーもう。あの駄犬。使い物にならなければいいのに。発情期か⁈快楽バカめ」

重い腰を摩り、身支度を進めていくのだが、鏡に映る自分の首にキスマークがついていて、コンシーラーとファンデで隠す無駄な作業と時間のロスに苛立っている。

昨日、朝から盛った駄犬は、一応は反省はして、その後は盛ることを我慢していた。

甲斐甲斐しく腰のマッサージと、湿布薬を塗りこんでくれたのはいいが、服を隠すし、理由をつけて膝に座らせて、不意打ちのキスを何度もしてきて、夜になるまで、解放してくれなかった。

彼の行動に、疑問しかない。

体の相性がいいだけで、あそこまで人は変われるものなのだろうか?

私以上に、体の相性がいい人を見つけたら、今、以上に、変わるのだろうかと、訳のわからない嫉妬で、ムカついてくる。

だから、嫌だったのだ。

嫉妬で、母のようにおかしくなりたくはない。

付き合ってもいないのに、彼の全てを知らないと気が済まなくなるようで、怖いのだ。

誰といるのか?
どこにいるのか?
何しているのか?
恐怖でしかない、そんな女になるのが怖い。

好きだから、嫌われたくない。
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