宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜



「……私も宝さんが欲しい」

「……っ!」


 こぼれ出たのは心からの欲望だった。
 次の瞬間、噛み付くように唇を奪われる。こじ開けられるまでもなく、自ら彼の舌を受け入れていた。

 ぬるりとした互いの舌の感触が絡み合う度、ゾクゾクと腰あたりに痺れを感じる。


「ん……、はぁ……っ」


 まだ息継ぎが下手な私は彼の舌の動きに応えるのに必死で、ぎゅっと服の裾にしがみついた。
 スルリと指と指とが絡まり合い、キツく握り合う。


「……っ!」


 もう片方の指先がツーと私の太腿あたりをなぞる。思わずビクッと反応してしまった。
 二度目だからもう恐怖心はない。ただ狂ったようなリズムで心臓が鼓動を刻んでいる。

 あの初めての夜とは違った。
 成り行きなんかじゃない、心の底から宝さんを求めている。理性も本能も全部吹き飛んで、ただただ宝さんが欲しい。

 私の全てを彼に捧げたい。


「結瑠、結瑠……っ」


 宝さんは何度も私の名前を呼んだ。それがまたあの夜との違いを実感させてくれる。
 あの時は互いの名前を知らなかったけど、今は違う。
 愛おしそうに名前を呼ばれる度、体中に甘い刺激が伝わってゆく。


「ふ……っ」

「結瑠、力抜いて」

「ん……」


 緊張で体が強張る私を和らげてくれるように、キスの雨を降らせてくれる。やがて緊張がほぐれてゆくとと同時に、快感の波が押し寄せる。
 ゆるゆると動いて貫かれる度、自分のものとは思えない甘い声をあげてしまう。


「結瑠、愛してる」

「……っ」

「愛してるよ」

「っ、わたしも……」


 強く強く宝さんにしがみついた。チカチカと目の前が光った直後、私は意識を手放した。

 心も体も一つになった、忘れられない夜となった。


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