宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜

11.世界で一つ



 宝さんと一緒にいたのは、あのツインタワーのVIPカードをくれたおじいさんだった。
 ブラックのロングコートを上品に着こなしており、ホテルでお会いした時も思ったがどことなく英国紳士といった雰囲気がある。
 もちろん純日本人だとは思うけれど。


「先日はありがとうございました。お体は大丈夫ですか?」

「おお、覚えていてくれたのかお嬢さん」

「もちろんです」

「お嬢さんのおかげでこの通りピンピンしておるよ」

「よかったです」

「祖父を助けてくれたのは結瑠だったのか」

「え?」


 宝さんの言葉に驚いておじいさんと宝さんを交互に見つめる。


「紹介が遅くなってすまない、俺の祖父だ。金剛グループの相談役でもある」

「よしてくれ。相談役なんて大したことはしとらんよ。若いもんに任せて悠々自適に老後を過ごすただのジジイだ」


 この方が宝さんのおじいさま!?
 それも金剛グループの相談役!?


「も、申し遅れました!ホテルベリが丘でウェディングプランナーをさせていただいております、白金結瑠と申しますっ」


 私は慌てて自己紹介とともに頭を下げる。
 先程からおばさまが固まっている理由がわかった。


「ほほう、良い名前だね。どんな字を書くのかな?」


 名前の漢字を尋ねてくるところは宝さんと同じで、なるほど身内なんだなぁと思ってしまった。


「白金は白いに金、結瑠は結ぶに瑠璃の瑠と書きます」

「綺麗な宝石の名前じゃな。ピッタリではないか、宝」


< 150 / 167 >

この作品をシェア

pagetop