宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 急に名前を呼ばれてドキッとする。
 なんだろう、自分の名前なのに何故だか聞き慣れない響きを聞いた気がした。


「君のことが気になってまともな作品が作れなかったからな。そのためにも傍にいて欲しい」

「えええ……」

「君にとってもメリットは大きいと思うけど、どうかな」


 はっきり言ってしまえば、メリットしかない。
 土地の高いベリが丘では到底住めないと思っていたのに、ノースエリアのこんな豪華なお家に住まわせてもらえる上に家賃、光熱費はタダ。
 仕事もしやすくなるのは間違いない。

 でも、結婚だなんて。


「はっきり言いますが、私には結婚願望がありません。金剛さんとも誰とも結婚する気はないんです。
だから、結婚を考えることは……」

「俺もそうだった。結婚願望なんてなかったけど、結瑠と出会って変わったんだ。
今はその気がなくても構わない。必ず俺と結婚したいと言わせてみせるから」


 その自信は一体どこから湧いてくるのだろう。
 どこまでもゴーイングマイウェイで強引な人だと思った。

 それなのに、ちょっぴりときめいてしまっている自分がいる。


「……そこまで言うならわかりました。でも、絶対結婚したいなんて思いませんから」

「それは楽しみだな」


 金剛さんはニヤッと楽しそうに笑う。
 こうして私たちの勝負とも言える婚前同居が始まるのだった。


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