宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 紅茶を啜ってから一度カップを置き、金剛さんは私を見返す。


「理屈では答えられないな。ただ君が結婚相手として傍にいるという想像ができた、それだけだ」

「それだけで?あなたってそんなに感覚的な方だったんですか?」


 バーで会話した時はもっと合理的で理知的な人だと思っていた。
 大体今の回答では答えになっていない。


「結婚相手として想像できる女性がいたら誰彼構わずプロポーズなさってるんですか?」

「そんなことはない。元々結婚する気はなくて、だけどお節介な伯母が色々世話を焼こうとするからうんざりしていた程なんだ。
だけど君と…結瑠となら結婚がイメージできた」

「……」


 つまり、結婚をせっつかれて困っていた時にちょうど良さそうな相手を見つけたというわけか。


「俺は確信している。君となら結婚生活は上手くいく」

「……そう、でしょうか」

「言わばこれは婚前同居だな」

「私はあなたとは結婚しません」

「ああ、そうか」


 まるで気に留める様子もなく紅茶を再び啜る金剛さん。

 本当にこの人、どうしてここまで確信を持って言い切れるのだろう。
 私なんて所詮は一夜を共にしただけの女に過ぎないのに。

 金剛グループの御曹司にしてジュエリーデザイナー、モデルと見紛う程の端正な容姿。
 女性に不足してこなかっただろうし、私みたいなただの一般人なんてわざわざ相手にする必要ない。

 だけど結婚しろと言われて困っていて、そんな時に私と出会い都合がよかったのだ。


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