利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
“やっぱり私、お飾り婚からのジョブチェンジだったみたい”

 そっと彼の腕に触れると、私が掴みやすいように腕を動かしてくれる。
 少し不器用なその仕草すらも可愛いと思うだなんて。


「あらあらまあまあ」
「「!」」
「流石新こ……」
「そ、そのドレスはフラスキーニ家へ送ってくれっ」
「おっ邪魔しましたぁ~!」

 貴族の礼儀? 優雅さ? そんなもの知りませんけど、とばかりに私たちは顔を赤くしたまま店を飛び出したのだった。
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