14年目のクリスマス

優しい時間

***

「さあ、寒いからここに座ってストーブで温まりなさい」

「ありがとパパ!」


家の探検をし終わったサキに、ホットココアを淹れてあげる。

ここに来るまでの道すがら、食料品を買うためにスーパーに立ち寄ってきた。

その時、いつの間にか買い物カゴの中に、コレが入っていたのだ。
 レジを通している時、初めてその存在に気づいた。

驚いて出口で待っていたサキを見ると、悪戯っぽく笑い、ペロッと舌を出してみせた。

欲しいと素直に言えば、別に反対などしないのに。
 サキはこういう小さい”無邪気なイタズラ”をよくする。


ティーカップを両手で持ち、フーフーと息を吹きかけているサキを眺めながら聞いた。


「家の中の探検はもう終わったのかい?
何かいいものは見つかった?」


サキはティーカップから顔をあげて言った。


「うん!珍しい家具がたくさんあって素敵だったよ!
これ全部パパが買ったものなの?」


サキの問いかけに首を横にふる。


「パパじゃない。おじいちゃんの趣味なんだよ」



この別荘は昔、祖父から譲り受けたものだ。

祖父が若いころ建てたものだから、随分と年季が入っている。


だが、アンティーク好きだった祖父が集めた骨董品がセンス良く飾られており、古いながらも品格のあるこの家を気に入っていた。








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