おばけなワタシとキラキラのきみ
「俺は、会長じゃなくて空がすごい文章を書くって、全校に知らせたいくらいだよ」

「……先輩には、わからないです」
ポツリと口にした。

「アユちゃんは主役じゃなくちゃいけないの……」

わたしは観念するように、小学三年生の感想文のときのことからいままでのことを告白した。

「一回だけ……もうやだって言ったんです」

小学校五年生のときの『将来の夢』をテーマにした作文コンクールだった。

「そしたら、次の日からクラス中に無視されて……」
ノドの奥がギュッと苦しくなる。

気づいたら涙がほほを伝っていた。

「だけど、書くって言ったらまた元にもどって……もう、あんなふうにはなりたくない……」

「今はそのときとはちがうだろ? 俺は無視なんてしない」
先輩の言葉にまた首をふる。

「先輩は、学年がちがうし……先に卒業しちゃうじゃないですか」

自分で一人を選ぶのと、無視されて独りになるのはちがう。

それから二人とも無言になって、わたしは少しの間しずかに泣いていた。

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