おばけなワタシとキラキラのきみ

せんぱいとわたし

アユちゃんからあいさつの原稿をたのまれた次の日の放課後、わたしはいつも通り閲覧室に向かう。

今日は〝宿題よりもアユちゃんのあいさつ優先〟って思いながらドアを開けた。

瞬間、またびっくりした。部屋の中で昨日の先輩が読書をしてたから。
目が合ったからまたペコって頭を下げた。

人がいるなんてことがあんまりないから、なんとなく気まずい。
教室の半分より少し広いくらいの閲覧室の、できるだけ先輩から距離をとれる席に座ることにした。

今からあいさつを考えようと思ってたけど……見られたりしないかな、宿題をやった方がいいかな、なんてぐるぐる考える。

雨音(あまおと)先生」

先輩が急に言葉を発したことにも、その単語にも、頭がまっ白になった。思わず、机の上のノートに向けていた視線を先輩の方に向ける。

「やっぱり、雨音先生なんだ?」
ニヤッと笑う先輩に、鼓動が早くなってうまく言葉が出てこない。

〝雨音〟それは、わたしが小説サイトで使っているペンネーム。

なんでそれを先輩が知ってるの?
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