初恋リメイク!

「むしろ、なんで晶ちゃんは知らないの!?あんなに目立つ人達なのに!」
「そんなこと言われても……」

 葵先輩に負けず劣らず、女装で校舎を闊歩する匠先輩もこれまた有名な人らしい。
 葵先輩が作った小物を匠先輩が身に着け、広告塔になる。
 そうしてハニワのリボンは校内に広まっていったそうだ。

「いいなあ……!一体どこでゲットしたの?」

 花音ちゃんは、私のリボンに羨望の眼差しを向けていた。
 私は首元のリボンをじいっと見下ろした。

(本当にもらっちゃって良かったのかな……?)

 口止め料代わりとはいえ、なんだか気が引けてしまう。

 リボンに罪はないけれど、刺繍されたクマを見ていると、昔の苦い記憶がまざまざと蘇ってくる。

 何を隠そう私の小学生の時のあだ名は『クマ女』。

 背が高いことと、背中を丸めてノソノソ歩く姿がクマにそっくりだというのがあだ名の決め手。

 このリボンが花音ちゃんの言うように貴重なものなら、私なんかよりもふわふわのレースが似合う可愛い女子につけてもらった方がいいんじゃない?
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