初恋リメイク!

「私でも……変われますか?」
「……着たらわかるよ」

 匠先輩は優しく微笑むと、私が突き返したリボンをもう一度手渡してくれた。
 ドクンと鼓動が大きく跳ね上がる。
 何かを期待するように、呼吸が早くなっていく。
 葵先輩が歌いながら作る、あの服を着てみたい――。

「葵!晶ちゃんが来てるぞ!」

 匠先輩は私の瞳に何かが宿っていくのを見届けると、葵先輩に向かって声を張り上げた。

「なんだ、来てたのか。声を掛けてくれればよかったのに」

 表情筋を元に戻した葵先輩の大きな瞳に自分が映る。
 私は大きく息を吸った。
 やる前から逃げるのと、やってから後悔するのでは、多分意味が違ってくる。
 
「……やらせてください」
 
 私は気がつくと、そう答えていたのだった。

< 28 / 59 >

この作品をシェア

pagetop