私の彼は、一途な熱血消防士

夏祭り 7

 表情には出さないように気を付けているけれど、内心ではヒヤヒヤしている。誠司さんが私と噂になれば、もしかしたら美波ちゃんにも迷惑をかけてしまうかも知れない。一番の心配はそこだ。

 ちょうど他の園児たちがうちわ作りにやって来たので、私は席を譲ることを口実にさりげなさを装いながら、仕上がったうちわを背中の帯に差し込み席を立った。

「じゃあ、先生は他のところも見てくるね。美波ちゃん、大塚さん、ごゆっくり」

 椅子に座ったことで浴衣が着崩れしていないか気になるけれど、今は早くこの場を離れたい。
 私はうちわ作りのブースから離れると、沙織先生と交代で授乳室の番するため、授乳室を設置したばら組へと向かった。

 授乳室やおむつ替えに利用する保護者さんが、安心して利用できるよう、人の出入りに細心の注意を払わなければならない。それだけに、このスペースに関しては、職員が交代で受け持つことにしていたのだ。

 ここは他の教室と比べてひと気が少ないせいで、エアコンとサーキュレーターがよく効いており、とても快適だ。乳幼児がいるので、念のため空気清浄機も出力を高く設定しているので、他の教室に比べたら空気も綺麗なはずだ。

 しばらくここで番をしながら涼んでいれば、汗も引くだろう。
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