私の彼は、一途な熱血消防士

怪我と告白と 6

 玄関の鍵を開けている間、誠司さんは部屋の外側をキョロキョロと眺めていた。

 部屋に入ると、室内はまるで温室のように蒸し暑い。日当たりのいい部屋だから、この時間はまだ陽射しも強い。私は窓を少しだけ開けると、エアコンと扇風機のスイッチを入れた。扇風機で部屋の中にこもった空気を外に逃がせば、部屋も早く涼しくなる。

 誠司さんはその間、買ってきた食材などを冷蔵庫の中に入れてくれた。

 空気に入れ替えを済ませると、窓を閉めた。遮光カーテンを使っているのにこんなに部屋の中が熱くなるのだから、カーテンがなかったらこの部屋は、もっと暑くなっていただろう。

 ある程度空気の入れ替えが終わったので、私は窓を閉めると一緒にカーテンも閉めた。遮光しないと、画面に光が反射して見づらいからだ。

「パソコンはないんですけど、タブレット端末があるのでそれで観ましょう。画面小さいから、見づらくてすみませんなんですけど……」

 私の部屋にあるテレビは、サブスクのチューナーがいくつか内蔵されているけれど、誠司さんの加入しているものは残念ながら内蔵されていない。

 そのため私は、リビングのテーブル下に置いていたタブレット端末を取り出すと、誠司さんが加入しているサブスクのアプリをダウンロードする。誠司さんがアプリにログインし、サムネイルをチェックしながら観たかったアクション映画を一緒に鑑賞した。
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