私の彼は、一途な熱血消防士

接近 6

 誠司さんが出勤するまでに、私も色々と準備をした。

 燃えるごみの回収日が昨日だったので、量は少ないけれど実家に持ち帰らなければならない。臭いが出ないよう、ビニール袋を二重にして封をし、忘れないよう玄関に置く。

 他にも着替えや洗濯物も持ち帰らないと。私は洗面所に行って下着を包んだ衣類を袋に入れると、それを持って寝室へと向かった。旅行用の大きめなバッグを引っ張り出し、それに色々と詰め込んで、実家へ帰る準備は完了する。

 改めて戸締りなどを点検していると、誠司さんがテレビ台の上に置いていた四角い型のコンセントタップを見つめている。

 これは最近、日浦くんからあげると言われて受け取ったものだ。
 量販店で購入したらしく、封も切られずそのままの状態で渡された。値の張るものではなさそうだし受け取ったけれど、捨てるに捨てられず目につくところに置いていた。

「愛美、準備はできた? って、あれ、使ってないのか?」

 テレビ横のコンセントは、電源タップが複数付いている延長コードを使っている。スマホやタブレットの充電も、これを使っているので、もらったコンセントタップの使い道がない。

「はい。最近、例のお隣さんからもらったんですけど、ご覧の通りこれを使ってるから、全然使ってなくて。そのうち使い道もできるかと思ってそのままにしてたんですよ」
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