私の彼は、一途な熱血消防士

事件 2

 アパートの駐車場に到着すると、アパートの階段近くに中井さんの姿が見えた。

 車から降りると、誠司さんは私の右手を握り、中井さんの元へと向かう。私はまだ震えが止まらない。

「中井、悪いな」

「いいってことよ。それよりも愛美ちゃん、災難だったな……。誠司、警察に連絡してもいいか?」

「ああ、頼む。愛美の部屋の隣人、動きはないんだろう?」

「今のところはな。でも多分、部屋からこっちの様子を窺ってるんじゃないか?」

 中井さんはそう言いながらスマホを取り出すと、警察に電話を架ける。誠司さんは私の手を握ったままだ。

 通話が終わり、そんなに時間が経たないうちに、パトカーがアパートに到着した。

 サイレンを鳴らすことなく到着したので、ちょっとだけ安心した。下手にサイレンを鳴らしていたら、何か事件でも起こったのかと騒ぎになる。

 パトカーには私の駐車スペースに車を停めてもらい、みんなで一緒にアパートの外階段を上がって行くと……

 さっき誠司さんから画像が送られてきたように、私の部屋の入口に、ゴミが散乱していた。

「え……、待って……。これ、ずっと前に私がごみの日に捨てたやつだ……!」
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