私の彼は、一途な熱血消防士

ロマンスのはじまり 3

 千紘さんが職場の話をし始めると、ところどころで小春に同意を求めてくる。

 二人は同僚だから、話題も共通だ。患者さんの名前など個人が特定できることは口にしないけれど、患者さんとの日々のやり取りを面白おかしく語ってくれた。

 途中で料理が運ばれてきたので、食事をしながら話は続く。

 みんなが絶賛するだけありお料理はどれも美味しく、味覚だけではなく、視覚も楽しませてくれる盛り付けや器にも感動を覚えた。

「本当に美味しいね……」

 私の呟きに、小春が大きく頷いた。

「でしょう? お料理はどれも美味しいし、盛り付けも綺麗で見た目が映えるし、いつ来ても飽きないのよね」

 小春の言葉に千紘さんや中井さんも頷いている。そこで、中井さんが爆弾発言を口にした。

「こんなに料理上手な彼女がいて、翔太も鼻が高いな」

 一瞬この場に沈黙が流れたけれど、次の瞬間、私を含む女性陣が驚きの声をあげる。

「「「ええ――――っ!!」」」

 私たちの驚きに反して、男性陣は最初から知っていたのか、こちらの反応を見て面白がっているようだ。

 初対面の私が驚くくらいだから、同じ職場の二人はもっと驚いている。千紘さんに関しては目を見開いたまま、言葉が出ないようだ。
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