私の彼は、一途な熱血消防士
第一章

出会い 1

 入園式も無事に終わり、幼稚園生活が始まった平日の朝、八時前後から幼稚園は登園ラッシュに見舞われる。

 入園式前に無事荷解きも終わり、ようやく自分の城を手に入れた私は、この新しい環境を少しずつ楽しんでいる。
 実家にいる時と比べ、朝もゆっくりと過ごせるせいか、以前より少しだけ気持ちに余裕が生まれた。

 受け持つ園児の人数も少ないため、今のところ全員に目が行き届いている、と思う。
 少子化が進んでいるせいで、公立でも幼稚園は毎年定員割れしており、それまで何とか二クラスずつある学年も、今年は下手したらそれぞれ一クラスずつになる危機に瀕していた。

 一方で、近くにある公立保育所は毎年定員オーバーで激戦区。なので年中さんや年長さんの中には、保育所に入れなかった子が仕方なくこちらへ流れてくることもある。そのような問題を解決すべく、来年認定こども園として保育所と幼稚園が合併することになっており、用地買収も無事に終わったところだ。
 年内にも施設建設に着工し、来年の春には完成予定とのことだ。そしてこの幼稚園と保育所は、取り壊されて駐車場や公園に生まれ変わる。

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