私の彼は、一途な熱血消防士
 私はみんなに明日はいつも通りに登園することと、給食がなく午前中で降園になることを改めて念押しをすると、みんなもいつもより早い降園に大喜びで、私の伝達事項を聞いている。

 教室内の時計に目をやると、降園時間五分前だ。今日くらい少し早く終わらせてもいいだろう。
 私はみんなにさようならの挨拶をして、園児たちに帰りの支度を促した。入園から三か月も経つと、みんなも慣れた様子で後ろに設置されたロッカーから園バッグや持ち帰る荷物を取りに行き、そのまま園庭に面した廊下へ出てお迎えの保護者を待つ。

 私はそんな園児たちの後ろ姿を見ながら、子どもたちの成長の速さに目を細めた。
 入園当時は荷物を取りに行くだけで団子状態になり、衝突してはよくケンカをしていた子たちが、譲り合いの心を持って仲良く過ごしているのだ。やはり集団生活でしか得られないものがあるのだと改めて思った。

 お迎えに来た保護者さんへ園児を引き渡す際、明日の予定を聞かれることがある。

 園児の中には上手に伝えられない子もいるのと、お子さんがたくさんいる家庭については、行事を都度確認しなければ忘れてしまうという保護者もいるからだ。
< 87 / 305 >

この作品をシェア

pagetop