縁結び−変わる勇気をくれた君と、秋の風―

「…叶うよ。」


「…えっ?…え!?今、佐敷さん、なんて?」


油断していた大地が、憧子の手を握ったまま、体を近づけてきた。


「今、大事なこと聞き逃した気がする!もう一回言って!!」


大地の顔が近づいてきてきた瞬間、急に恥ずかしくなり、憧子は大地が近づいてきた分、距離をとった。


「な、ナイショーー!」


そう言うと、大地の手からスルッと手を抜くと、

ぴゅーーっと社務所の方へ走っていった。


「あ!!ちょっと、待ってよ!」


そう言って、追いかけてくる大地。


草履を履いた憧子と、スニーカーを履いた大地。


もちろん、大地の方が圧倒的に足が早いわけで。


憧子が社務所に逃げ込む直前に、大地は憧子に追いついた。


社務所のドアノブにかけられた憧子の手を、大地が握っている。


全速力で走った2人の息は、乱れていた。


「…佐敷さん。」


「な、なに…」


呼吸を整えると、大地が憧子の顔を覗き込んできた。


「縁結び…さっそく叶えてくれない?」


大地の真剣な目に捕らえられて、憧子は目線を逸らせない。


──勇気を、出さなきゃ。


憧子は静かに、コクッと頷いた。


「…嬉しい。」


そう言って笑った大地の顔は、
憧子が今まで見た中で1番、爽やかで嬉しそうだった。



秋の終わりを知らせるような、一際ひんやりとした風が、憧子と大地の頭上にあるモミジを静かに揺らし、
赤く色付いた葉っぱがヒラヒラと数枚舞う。


秋風は冷たいが、キュッと手を握り合った2人の手は温かい。


そんな2人の間で、2つの縁結びの御守りは、
いつまでも、静かに揺れていた。



fin.


< 38 / 38 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

月夜に1人の私を見つけて

総文字数/175

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
本作品は、加筆・改稿中です。 今後、新人賞への応募も視野に入れているため、現在は本文を非公開としております。 これまで読んでくださった皆さま、 本棚登録や感想をくださった方々には心より感謝いたします。 形を変えてまたどこかでお届けできる日を目指して執筆を続けてまいりますので、 今後ともよろしくお願いいたします。 2025.12.29 広瀬凛 。+゚☆゚+。★。+゚☆゚+。★。+゚☆゚+。 イルミネーションがキラキラと輝く、 クリスマス目前のある日。 彼氏に、フラれた。 新しい彼女ができたらしい。 悲しくて 寂しくて 1人で過ごす孤独な夜が辛い。 そんな私を、ある後輩くんが気にかけてくれた。 『期待の新人』 なんて、 周囲から囁かれている彼がくれる、 優しい言葉たち。 社交辞令だと分かっていても、 彼の優しい言葉についつい乗せられて、 思わず甘えてしまう。 そして、 私の寂しさを埋めるように、抱きしめてくれる。 彼の力強さと、 彼の匂いと、 甘くて優しい、 あの温もりを感じるほんの数分間に、 私は救われた。 見つけて。 気づいて。 そんな、 消えてしまいそうなくらい小さな願いが叶うよう、 祈る私を、 必ず彼は、見つけてくれるんだ。 キラキラのイルミネーションの向こう、 ひっそりと夜空に浮かぶ、 あの白い月を見つけるように── "月夜に1人の私を見つけて" 。+゚☆゚+。★。+゚☆゚+。★。+゚☆゚+。 宮下 雪奈 (みやした ゆきな) 24歳 ✕ 二宮 大和 (にのみや やまと) 22歳 。+゚☆゚+。★。+゚☆゚+。★。+゚☆゚+。 本棚登録、いいね! ひとこと感想、感想ノート どれも嬉しいです^^ ありがとうございます! 2023/12/05 恋愛(中・短編):16位 Berry's Cafe内で、トップ20以内に入っておりました…! たくさんの方に読んでいただけていることが、 とても嬉しいです! 皆さまありがとうございます!!
身長差25㌢の、私と彼。last story

総文字数/20,388

恋愛(純愛)38ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
✤登場人物✤ <主人公> 加野屋 理咲(かのや りさ) 高3 身長:153センチ × <理咲の彼氏> 結城 蓮(ゆうき れん) 高3 身長:178センチ <理咲の親友、蓮の幼馴染み> 星野 葵(ほしの あおい) 高3 身長:169センチ ✕ <蓮と葵の幼馴染み> 松原 蒼真(まつばら そうま) 大学4年 身長:179センチ · · • • • ✤ • • • · ·· · • • • ✤ • • • · · 受験勉強が本格化してきた初秋。 高校生活の思い出作りとして、 山中の川沿いでバーベキューをすることにした理咲達。 付き合って1年程の彼氏・蓮と親友の葵に加え、 蓮と葵の幼馴染みで大学生の蒼真を迎えて 4人で楽しく過ごしていた…が。 バーベキューの準備中、 突然、葵からあることをカミングアウトされ…? · · • • • ✤ • • • · ·· · • • • ✤ • • • · · まだこのシリーズをお読みでない方へ こちらは、ファン登録いただいた読者様に向けた お礼代わりのショートストーリーです。 以下を先に読んでいただくと より楽しんでいただけるかと思いますので、ぜひ。 第1部 「身長差25㌢の、私と彼。」 ※ファン登録は不要です 第2部 「身長差25㌢の、私と彼。after story」 ※ファン登録が必要です · · • • • ✤ • • • · ·· · • • • ✤ • • • · · 今回が最終話となります。 まさか3部作になるとは、作者も思っておりませんでした笑 ぼんやりと思い浮かべていた理咲と蓮のその後を、 このように1つのお話として形にできたのも、 感想やいいねをくださった皆様のおかげです! 心からの感謝を込めて… ありがとうございます!(*-ω人)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop