憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



 受付をし、広いテーブルで問診票に記入し、問診票と同意書と資料を窓口に提出した。予約時間になると、バインダーとペンを持った私と同い年くらいの黒髪の好青年の先生が白衣姿で私のところへやってきた。

「大変お待たせしました。今日の十時三十分から脳ドックの予約をされていた患者様でお間違いないですか?」

「はい。咲村亜矢といいます。脳ドックの専門的なプランを予約しておりました」

「ありがとうございます。僕は本日咲村様の案内をさせていただきます脳外科の小川です。検診着に着替えていただきますので、こちらへどうぞ」

 小川先生に連れられてロッカールームへと移動する。赤間さんは私に「大丈夫ですからね、亜矢様。私がついてますので」と、慰めの言葉をくれるが、当の赤間さんの方が緊張しているように思える。

 そんな赤間さんに、

「あの、お連れ様はお時間は大丈夫ですか? 恐らく予定では三時間半から四時間は掛かりますが……」

 小川先生はふと、問いかけた。


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