仮定法過去の恋〈下〉
「舞ちゃん、どうしたの」
休み明け早々、舞子の目は何日も泣いたことが分かるくらいに腫れていた。


「夏休みは例の彼とランデヴーだったんでしょ」
舞子は頷き、そのままうつむいた。


舞子は年下の落ち着きのない彼に振り回されていた。
ただ、由実はその男子の良さはまったく分からなかった。


自分は素敵な紳士に見初められたいし、一緒に映画や芝居を見に行く舞子も同じ考えだと思っていた。


でも舞子は「弟たちを見てるみたいでほっとけなくなるの」と言う。
由実としてはちょっとくらいほっとくくらいが丁度いいと思っているが、これは口には出せない。






何も話さない舞子が気になりながらも、
始業のチャイムが鳴り、席についた。
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