【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
「それに、あのときのことをヒロインの初恋シーンにしたってことはさ……俺、ちょっとはうぬぼれてもいいのかな?」
「え?」
「莉緒が、俺に恋してるかもしれないって」
「っ!」

 言い当てられて、息が止まる。
 あのときのことを書いたんだってことはバレても、さすがに私の気持ちまではバレないよねって思ってたから。

 あくまで小説の中のヒロインが初恋を自覚したシーンとして書いたし。
 下読みしてもらったときも玲衣くん何も言わなかったから、バレてないなって安心してたのに!

「なあ莉緒……俺、自信もっていいか?」
「じ、自信?」

 私の気持ちまで玲衣くんにバレてたって知って、頭の中がグルグルする。
 そんな私に玲衣くんがなにを言いたいのかなんて考える余裕(よゆう)はない。

 なんだか真剣(しんけん)な目で私を見る玲衣くんにもドキドキして、彼の言葉をくり返すことしか出来なかった。

「ああ。……莉緒が、俺のこと男として好きでいてくれてるって自信」
「すっ好きっ!?」

 ああもう、これ完全に私の気持ちバレてるってことだよね!?
 え? これどうすればいいの!?

「うん。で、俺と莉緒が両思いだっていう自信」
「両おも……え?」

 今、玲衣くんなんて言った?
 私の聞きまちがいじゃなければ『両思い』って言った?
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