【コミカライズ原作】Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
──私の悪い癖だ。傷つきたくなくて、問題をなかったことにしちゃうの。誠が帰ってきたら、少し話してみよう。
昼間一人の時に感じる寂しさよりもっと濃い孤独が、沙羅を蝕んでいる。
仕事をして外の世界に触れれば、きっと余計なことを考えないで済む。
☆すれ違い 辻村と再び出会う
「排卵は問題なさそうだから、そろそろ旦那さんの検査をしてもいいかもね」
医師にこう言われるのも何度目かだった。その度に沙羅の心は重くなる。
「はい。夫の予定を聞いてみます」
受付で、予定がまだわからないからと次回の予約を取らないことにする。
不妊の理由はさまざまで、どちらにも問題がないこともよくあるという。誠に原因があったとしても構わない。けれど嫌なのは、自分一人だけでこの気持ちを背負わなくてはいけないことだ。
沙羅の家は母子家庭で、その原因は父親が母を捨て別の女性と再婚したからだった。
あの頃の母親の荒れっぷりを思い出すと、今でも胃がきりきりと痛くなる。泣いても喚いても、一度離れた心は戻らなかった。