恋と、涙と、先輩と
あっくんがわたしのことをかばってくれている。

やっぱりあの夏祭りで、わたしたちのぎくしゃくした関係に変化があったんだ。


――そう思っていたら。


「しつこく誘われたから、仕方なくいっしょに行っただけ。べつになにもねぇよ」


わたしは息を呑んだ。


どうして、あっくん…。

…そんな嘘つくの。


電話で誘ってきたのは、あっくんのほうなのに。


「まだ敦くんって、みくりちゃんにストーカーされてるの?」

「こわいんだけど…!みくりちゃんっておとなしそうに見えるけど、好きになった人にはそういう感じなんだね」

「なんかイタイね」

「まあ敦くんってモテるし、中にはそういう人もいるのは仕方ないと思うけど」


クラスの男の子も女の子もケラケラと笑っている。

…それに、あっくんまでも。
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