Close to you
 しかも、私のことを恨んでいるようでもない。


 だから、だろうか。


 奥野さんが撮ってきた、3枚目の写真まで一緒に差しこんでしまったのは。


 このときの私は、妙に楽天的になっていた。


 お祖母ちゃんを引き合いに出して、3枚目の写真を見せれば目を覚ますだろうと。


 内部進学ができないかも、なんて怯えなくていいと。


 なんの根拠もなく、そう思っていた。


 こちらから見えなくなるまでしっかりと差しこみ、ここまでと同じだけ注意して自分の部屋に戻った。


 ベッドにもぐって、さもずっと寝ていたかのように装おう。安心からか、身体が寒さを思いだしてぶるりと震えた。昼はいいけど、早朝はまだ寒い。


 起きなければならない時間まで、あと1時間ほど。


 奥野さんがやってくるまで、あと20分ほど。


 なんでもない、いつもの私を演じなければ。


 まどろみに溶かされそうになる思考は、たしかに緊張しているのに。


 まぶたの裏には、奥野くんの笑顔が浮かんでしまう。
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