強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
プロローグ



 深夜一時。マンションの一室で、テレビの前に齧りついていた私は歓喜の雄たけびをあげた。

「きゃーっ! ラインフェルド様が動いてる! こっち見た! 素敵ーっ!!」

 私の目は、ヒロインを巡って恋の火花を散らす五人の男性キャラが代わる代わる登場するオープニングアニメに釘付けだ。

 そんな調子で盛り上がっていた私は、画面に額から頬にかけて走る刀傷が特徴的な黒髪青目の大男がアップで映し出され、台詞を口にした瞬間、胸にクッションを抱きしめて身悶えた。

「あ、あ、ぁぁあああ。ラインフェルド様がしゃべってるっ!! 小説で読んで惚れ込んだわけだけど、こうしてアニメで見るとまた別格!! ラインフェルド様が尊いっ。尊すぎて目が潰れるぅ~っ」

 私の興奮はエンディングまでの三十分間、途切れることが無かった。

 テレビを消して寝台に潜り込んだ後も、目はらんらんと輝いたまま。




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