強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 彼との離婚は身が千切れるように辛い。それは単に彼が前世の推しというだけじゃない。そもそも私は前世の記憶こそ思い出したけど、記憶はあくまで記憶。私にはフェリシアとして生きた十七年の人生があって、日本で推し活にすべてを捧げていたかつての私とは別の人格なのだ。

 共に暮らす中でいろんな表情を見て、予想外の一面や意外な一面を知るにつけ、〝現実のラインフェルド様〟への想いが膨らんでいた。けれど、いつまでもなぁなぁのまま彼の優しさに甘えているわけにはいかない。

「ラインフェルド様、やっぱり大好きなあなたには最愛の人と幸せになって欲しい。だから後一カ月で、なんとしても離婚を了承してもらいます。お覚悟くださいませ……!」

 握った拳を晴天の空に向かって突き上げながら、決意表明を叫んだ。






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