強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 ラインフェルド様が私を尊重してくれていたのは間違いないけど、なら政略で押し付けられただけの私をそこまで気にかけてくれたのはなぜなのか。大切な形見の品を渡すのは、お飾りの妻に対する行動としては明らかにやり過ぎだ。

「うぅーん、ラインフェルド様の考えが分からない」

 結局のところ彼が私を妻として求めていなかったのは事実なので、思考はどこまでも堂々巡り。ぐるり回って、最終的には何度だって同じ疑問に行きつくのだ。

 その時。

「フェリシア様、間もなくアレッポスの町長館に到着いたします」

 騎馬で並走するレックスさんに車窓越しに声をかられて、居住まいを正して答える。

「はい。いつでも降りる準備はできてます」

 物思いを中断し、差し迫る浄化へと意識を集中させた。
 個人的な事情はさておき、聖女としての役目を蔑ろにする気はない。一刻も早くを浄化して、アレッポスの人たちを安心させてあげたかった。











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