年上幼馴染の一途な執着愛

結婚式

翌朝、私は早朝に起きて朝ごはんを作り、お母さんと一緒に先に食べてから振袖の着付けをした。


「おはよーございまー……す……」


リビングに戻った時、ちょうど起きてきたらしい日向が私を見て固まった。


「日向、おはよう」

「……はよ」

「日向くん見て? ユウちゃん可愛いでしょう? 久しぶりだから私も張り切っちゃった」

「……あ、はい。すごい似合ってます」

「でしょう? ふふっ、日向くんも朝ごはん食べちゃってね、用意できてるから」

「ありがとうございます……」


日向はお母さんに返事をしながらも、視線はずっと私を見つめていた。


「……日向?」


声をかけると、日向はふわりと目尻を下げて優しく笑いながら


「振袖姿初めて見た。可愛い。似合ってる」


と私の頬に手を添える。


「ふふ、ありがと」


日向はそのまま私に触れるだけのキスをして、すぐに身体を離した。


「ちょっ……日向!」


こんなところでキスして、お父さんとお母さんに見られたらどうするつもりなんだ。
焦ってきょろきょろしながら小声で日向を責めるけれど、


「ははっ、かーわいい」


日向はそう笑いながらご飯を食べに行ってしまった。
からかわれたことが悔しくて、でもキスは嫌じゃなくて。
本当はもっとしてほしかった、だなんて。
そんなことを考えてしまうこの複雑な感情がただただ腹立たしい。


今日は午後から式が始まるため、それまでに私はヘアメイクのために近くの美容室に行く予定になっていた。
お母さんはどうやら着付けもヘアメイクも全部自分でやるらしい。改めてすごすぎると思う。
両親は私のためにタクシーを呼ぼうと思っていたようだけど、日向が美容室まで送ってくれることになったため車に乗り込んだ。
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