年上幼馴染の一途な執着愛
「日向?」

『悪いな、仕事始めで忙しいのに』

「それは全然いいけど、どうしたの?電話なんて珍しいじゃん」


日向の連絡先はずっと知っていたけれど、電話どころかメッセージすらあまり来なかったからこういうことは珍しい。


『いや、今まではお前の彼氏に悪いなと思って控えてたんだよ。でも別れたんなら関係ないと思って』

「あぁ、そういうこと」


どうやら日向なりに気を遣ってくれていたらしい。


『なぁ、今月末の金曜の夜、時間あるか?』

「今月末……今のところ予定は特にないから大丈夫だとは思うけど」

『ん。じゃあその日空けといて』

「こっちにくるの?」

『あぁ。実は出張でそっちに行くことになったんだ。土曜に帰るから、金曜の夜に食事でもどうかと思って』


ドクンと、胸が高鳴る。

出張の後に、わざわざ私に会いに……?

驚いて、


「そ、っか。わかった。空けとくね」


そんな返事しかできない。

大学時代の友達もこっちにいるはずなのに、その人たちじゃなくて私に会いたいと、そう思ってくれたのだろうか。


『それより、なんか声変だけど、もしかして大分疲れてる?』

「あー……、うん。よくわかったね。実は会社でバタバタしててすっごい忙しかったの。もうへとへと」

『やっぱり。メシはちゃんと食ったか?』

「今食べてるよ。コンビニご飯だけど」

『そうか。あんまり無理すんなよ。放っとくとお前はすぐ一人で抱え込むんだから』

「うん。ありがとう」


スピーカー越しでもわかるなんて、そんなに私は疲れ切った声をしていたのだろうか。
でも日向の声を聞いたら、なんだかスッと楽になったような気もする。


『急に電話して悪かったな。あったかくしてゆっくり休めよ』

「うん。おやすみ日向」

『おやすみ』


電話を終えるとすぐに眠気が襲ってきて、ご飯もそこそこにシャワーを浴びてからベッドに倒れ込む。


「明日も仕事かあ……」


明日も忙しいんだろうけど、月末には日向に会えるし……。
そこまで考えて、日向に会うのをすごく楽しみにしている自分がいることに気がついた。

あんなことがあって、気まずい気持ちもあったのにまたすぐに会いたいだなんて……。

膨らみ始めた気持ちに、気づかないふりをして眠る。
その日は夢も見ずにぐっすり眠っているうちに夜が明けていた。
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